相続税の申告期限に遅れたら、いくらかかる?(無申告加算税・延滞税)
相続税の申告期限(10か月)を過ぎてから申告すると、本来の相続税に加えて、無申告加算税と延滞税がかかります。割合と計算の例、遅れそうなときにできることをまとめます。
結論
期限後の申告では、原則として、本来の相続税に無申告加算税と延滞税が別々に加わります。2つは、金額が決まる仕組みも、増えるタイミングも違います。
| 追加される税金 | 何によって決まる? |
|---|---|
| 無申告加算税 | 申告した段階と、本来納める税額の区分。毎日増える税金ではありません |
| 延滞税 | 本税が未納だった日数。申告書を出しただけでは止まらず、本税を納めた日までかかります |
調査の通知を受ける前に自分から申告すれば、無申告加算税は原則5%です。延滞税は2026年中は年2.8%で、期限後の申告書を出した日の翌日から2か月を経過した後は年9.1%になります。
くわしく
無申告加算税の割合
期限後に申告して納める税額を、相続人ごとに区分して計算します。遺産の総額や、家族全員の相続税の合計に割合をかけるのではありません。2024年1月1日以後に申告期限が来る相続税は、次のとおりです。
| 申告した時期 | 無申告加算税の割合 |
|---|---|
| 通知の前 | 5%(金額にかかわらず) |
| 通知のあと | 10%(50万円を超える部分は15%、300万円を超える部分は25%) |
| 決定を予知したあと | 15%(50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%) |
「通知の前」は、調査の通知前に、税務署の決定があると予知せず自分から申告した場合です。「通知のあと」は、調査の通知を受けたものの、まだ調査による決定を予知する前に申告した場合。「決定を予知したあと」は、調査で税務署が税額を決めるとわかった後に申告した場合や、税務署の決定を受けた場合です。調査が始まっただけで、一律に最後の区分になるわけではありません。
ここでいう「調査の通知」は、税務署から実地の調査をすること、調査する税目と期間を知らされることです。
50万円・300万円は、割合の切替地点です。たとえば本税800万円なら、50万円+250万円+500万円に分け、それぞれの割合で計算して足します。800万円全体に一番高い割合をかけるわけではありません。
次のときは、無申告加算税がかかりません。
- 期限に遅れたことに、正当な理由があるとき
- 期限から1か月以内に自分から申告し、税額を申告期限までに全額納めていて、過去5年に無申告加算税などを受けていないなど、期限内に申告する意思があったと認められるとき
反対に、財産を隠したり仮装したりして申告しなかったときは、無申告加算税に代えて、40%の重加算税がかかります。このほか、短い期間に無申告をくり返したときの上乗せなどの例外があります。
延滞税の割合と期間
延滞税は、本来の納付期限(法定納期限)の翌日から、本税を納めた日を含めて日割りで計算します。全額を納めれば、その日で計算が終わります。一部だけ納めたときは、残った未納額について続きます。
期限後申告では、申告書を出した日が「納期限」になります。高い割合に切り替わる基準は、本来の申告期限ではなく、期限後の申告書を出した日です。
| 期間 | 割合(2026年中) |
|---|---|
| 法定納期限の翌日〜期限後申告日の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| その翌日〜本税を納めた日 | 年9.1% |
たとえば、6月30日が本来の期限で、9月30日に期限後申告した場合、年2.8%の期間は7月1日〜11月30日。年9.1%になるのは12月1日以降です。「本来の期限から2か月後の9月1日」ではありません。
割合は毎年見直されます。計算の元になる本税は1万円未満を切り捨てます。延滞税は、割合ごとの計算額を合計してから100円未満を切り捨て、全額が1,000円未満ならかかりません。年率なので、日数を365日で割って計算します(うるう年も365日です)。
数字で見ると
次の例で、申告した時期による違いを比べます。
- 相続人1人が納める本来の相続税は800万円。申告・納付期限は2026年6月30日
- 3か月遅れて、2026年9月30日に申告し、その日に全額を納めます
- 比べやすいように、どの場合も同じ日に申告して納めたものとします
- 免除・繰返し無申告による加重・財産の隠蔽や仮装・納税者の責任によらない事情などの特例はないものとします
① 延滞税を、日数から計算します。 期限当日の6月30日は数えず、翌日の7月1日から納付日の9月30日までを数えます。
| 数える期間 | 日数 |
|---|---|
| 7月1日〜7月31日 | 31日 |
| 8月1日〜8月31日 | 31日 |
| 9月1日〜9月30日 | 30日 |
| 合計 | 92日 |
800万円 × 2.8% × 92日 ÷ 365日 = 56,460.273…円。100円未満を切り捨て、延滞税は5万6,400円です。9月30日に全額納めるので、この例で年9.1%の区間は生じません。
② 無申告加算税を、申告した段階ごとに計算します。
- 通知の前:800万円 × 5% = 40万円。
- 通知のあと(決定予知前):50万円 × 10% + 250万円 × 15% + 500万円 × 25% = 5万円 + 37万5,000円 + 125万円 = 167万5,000円。
- 決定を予知したあと:50万円 × 15% + 250万円 × 20% + 500万円 × 30% = 7万5,000円 + 50万円 + 150万円 = 207万5,000円。
③ 2つを足すと、次の追加負担になります。 表の「追加負担」は、本来の相続税800万円を含みません。
| 申告した段階 | 無申告加算税 | 追加負担の合計 |
|---|---|---|
| 通知の前 | 40万円 | 45万6,400円 |
| 通知のあと | 167万5,000円 | 173万1,400円 |
| 決定予知後 | 207万5,000円 | 213万1,400円 |
同じ日に全額納める比較なので、延滞税はどの場合も5万6,400円です。本税も含めた支払額は、通知前の例なら800万円+40万円+5万6,400円=845万6,400円です。期限内に正しく申告して全額納めていれば、これらの追加負担は生じません。
申告しても納めなかったら、どこまで増える?
ここからは別の比較です。申告日は9月30日で固定し、本税800万円を全額納める日だけを変えます。 途中の一部納付はなく、グラフと表は延滞税だけを示します。無申告加算税が日数の分だけ増える、という意味ではありません。
| 本税の全額納付日 | その日までの延滞税 |
|---|---|
| 9月30日 | 5万6,400円(年2.8%で92日) |
| 11月30日 | 9万3,800円(年2.8%で153日) |
| 12月31日 | 15万5,700円(年2.8%で153日+年9.1%で31日) |
12月31日に全額納める場合は、7月1日〜11月30日の153日と、12月1日〜12月31日の31日に分けます。
800万円 × 2.8% × 153日 ÷ 365日 + 800万円 × 9.1% × 31日 ÷ 365日 = 155,726.027…円。2区間を足してから100円未満を切り捨て、15万5,700円です。
グラフが12月1日から急になるのは、その日から年9.1%になるためです。12月31日で自動的に止まるわけではなく、未納なら翌年も続き、翌年分はその年の割合で計算します。「申告」と「納付」は別々に済ませる必要があります。
遅れそうなときにできること
- 分け方がまとまらないとき:期限までに、未分割のまま申告して納めます(遺産分割がまとまらないまま、申告期限が来たら?)。
- 資料や評価が間に合わないとき:わかる範囲で期限内に申告して納め、あとで修正申告や更正の請求で直します。期限内に申告しておけば、あとで税額が増えても、調査の通知の前に自分から修正申告すれば過少申告加算税はかかりません(増えた分の延滞税はかかります)。
- お金で一度に納めるのが難しいとき:相続税が10万円を超え、お金で納めるのが難しいときは、申告期限までに申請して、担保を出して分けて納める延納の制度があります。延納の間は利子税がかかります。
期限と注意
- 申告と納付の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限の日が土曜・日曜・祝日などに当たるときは、その次の平日が期限です。
- 期限を過ぎたと気づいたら、調査の通知が来る前に、できるだけ早く申告して納めます。無申告加算税の割合が低く、延滞税も日数の分だけで済みます。
- 延滞税の割合は年ごとに変わります。2027年以降の分は、その年の割合で計算します。
親の記事の相続税の申告期限から逆算するでは、期限に間に合わせるための10か月の進め方をまとめています。
根拠
- 国税庁 No.9205 延滞税について
- 国税庁「延滞税の割合」
- 国税庁「延滞税の計算方法」
- 国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき(無申告加算税の割合と、かからない場合)
- 国税庁「相続税及び贈与税等に関する質疑応答事例(令和5年度税制改正関係)」
- 国税庁「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
- 国税庁 No.4211 相続税の延納
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
制度・一次資料の確認日:2026年10月25日。加算税と延滞税は、申告や納付をした日、調査の有無、その年の割合に応じて計算します。
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