亡くなった日の預金と株の残高は、どう確かめる?(残高証明書)
通帳の記帳が何か月も前で止まっている、通帳そのものが見つからない、証券会社がわからない。相続税の準備で預金や株を一覧にするとき、まず確かめたいのが「亡くなった日にいくらあったか」です。
結論
相続税では、預貯金は亡くなった日(課税時期)の残高で評価し、定期預金などはその日に解約したとすれば受け取れる利息(既経過利息)も加えます。この残高は、口座のある金融機関すべてから「亡くなった日現在の残高証明書」を取って確かめます。株などの証券口座も、証券会社の残高証明書で銘柄と数量を確かめます。亡くなったあとに葬儀費用などを引き出していても残高からは差し引かず、葬式費用は別に遺産総額から差し引けるかを確かめます。
くわしく
どの金額で評価するか
財産評価基本通達203は、預貯金を「亡くなった日の預入高」と「その日に解約したとすれば受け取れる既経過利息から、源泉徴収される税額相当を差し引いた額」の合計で評価すると定めています。
| 種類 | 評価する金額 |
|---|---|
| 定期預金・定期貯金・定額貯金 | 亡くなった日の残高+既経過利息(税相当額を差し引いた額) |
| 普通預金・通常貯金 | 亡くなった日の残高だけ(既経過利息は少額のため、ふつうは計算しない) |
| 当座預金 | 亡くなった日の残高だけ(利息がつかない) |
残高証明書を請求する
残高証明書は、通帳で残高がわかる口座も含めて、亡くなった方が口座を持っていた金融機関すべてに請求します。相続の手続きの窓口から請求し、ネット銀行も相続の受付から請求します。請求できる人、必要書類(亡くなったことと相続人であることがわかる戸籍や法定相続情報一覧図、請求する人の本人確認書類など)、手数料、届くまでの日数は、金融機関ごとに違います。
戸籍謄本などは、提出するときに原本を返してもらうよう頼むと、ほかの金融機関の手続きにも使い回せます。法務局で法定相続情報一覧図の写しを取っておけば、戸籍の束の代わりに使えます。
頼むときは、次の点を伝えておくと、あとで取り寄せ直す手間が減ります。
- 証明する日付は「亡くなった日」とする(請求した日ではない)
- 普通・定期・外貨預金など、その金融機関にある口座をすべて含める
- 定期預金があれば、既経過利息の額も示してもらえるか確かめる
- 同じ金融機関の投資信託などは、別の証明書になることがあるので、あわせて頼む
- 戸籍謄本などの原本を返してもらうよう頼む
亡くなったあとの引き出しは差し引かない
評価するのは亡くなった日の残高なので、そのあとに葬儀費用や入院費の支払いのために引き出した分を差し引いて書きません。引き出したお金で払った葬式費用は、葬式費用として遺産総額から差し引ける場合があります(香典返しや法要の費用は対象外)。亡くなった日までの入院費や、未納の税金などは、債務として差し引ける場合があります。
反対に、亡くなる前に引き出した現金が手元に残っていれば、預金ではなく「現金」として財産に入れます。
口座がどこにあるかわからないとき
- 金融機関からの郵便物(取引の報告、満期の案内、カードの更新)
- 財布や引き出しにあるキャッシュカード
- スマートフォンの銀行アプリや、金融機関からのメール
- 通帳の振替記録(ほかの銀行への振込、証券会社への入金、保険料やカードの引き落とし)
亡くなった方が金融機関にマイナンバーを届け出ていた口座は、預金保険機構の仕組みを使って、相続人が所在を照会できます。
株は、証券会社の残高証明書で確かめる
証券口座は、証券保管振替機構に「登録済加入者情報の開示請求」をすると、口座のある証券会社がわかります(残高はわからない)。残高は、各証券会社に亡くなった日現在の残高証明書を請求します。上場株式の評価は預金と仕組みが違うため、残高証明書は銘柄と数量を確かめる資料として使います。
お金の流れは、通帳と取引履歴で確かめる
残高とは別に、生前のお金の流れも確かめます。生前の大きな引き出しや、家族名義の口座への移動を見つけるためです。家族名義の預金でも、実質的に亡くなった方のものと認められれば、相続財産に入ります(名義預金)。
- 通帳が記帳されていれば、通帳で入出金を確かめられます。申告の資料には、いちばん新しい通帳の写しを付けます
- 紙の通帳で記帳の間が空くと、その間の入出金が1行にまとめて印字され(合算記帳)、中身がわからなくなります。その期間は、金融機関から取引履歴(入出金の明細)を取り寄せます
- 通帳が見つからない口座や、通帳のないネット銀行も、取引履歴を取り寄せます
当法人では、出してもらえるなら10年分を目安に確かめます。金融機関が出せる取引履歴は、長くても10年分ほどのことが多いためです。どこまでさかのぼって出してもらえるか、手数料がいくらかかるかは、金融機関に確かめます。
期限と注意
- 証明書や取引履歴は、届くまでに日数がかかります。相続税の申告期限(通常は亡くなった日の翌日から10か月以内)から逆算して、早めに請求します。全体の進め方は相続税の申告期限から逆算するをご覧ください
- 証明書の日付は、請求日ではなく亡くなった日にします
- 残高証明書は、通帳で残高がわかる口座も含め、口座のある金融機関すべてから取ります
- 定期預金は、残高だけでなく既経過利息も評価に入れます
- 亡くなったあとの引き出しは残高から差し引かず、葬式費用や債務として別に確かめます
- 家族名義の口座も、お金の出どころによっては確かめる対象になります