亡くなった方の不動産を一覧で確かめるには?(所有不動産記録証明書・名寄帳)
固定資産税の納税通知書が見つからない、ほかの市区町村にも土地がありそう、というときの調べ方です。法務局の所有不動産記録証明書と、市区町村で取れる名寄帳・評価証明書の使い分けと、調べる順番をまとめます。
結論
まず、2026年2月2日に始まった法務局の「所有不動産記録証明制度」で、亡くなった方が登記名義人になっている不動産を全国分まとめて調べます。検索は氏名と住所で行うので、戸籍の附票などで過去の住所も確かめて、検索の条件に入れます。登記の名義が先代のまま残っている不動産や未登記の建物はこの証明書に出ないため、ご家族への聞き取りと固定資産税の課税明細書で補います。そのうえで、物件がある市区町村すべてから名寄帳を取って一覧の目次にし、固定資産評価証明書を相続税の評価と登記に使います。
くわしく
調べる順番
- 戸籍で、相続人と過去の住所を確かめる:亡くなった方の出生から死亡までの戸籍は、2024年3月1日から、配偶者や子などが本籍地以外の市区町村の窓口でも請求できるようになりました(戸籍の広域交付)。住所の移り変わりは、本籍地の市区町村で取る戸籍の附票(除票を含む)で確かめます。
- 所有不動産記録証明書を請求する:亡くなったときの住所・氏名に加えて、登記をしたころの古い住所や旧姓も検索の条件にします。
- 登記に出ない不動産を補う:ご家族に、親の代から名義を変えずに持っている土地や、田畑・山林がないかを聞きます。手元の課税明細書や、通帳の固定資産税の引落しとも突き合わせます。
- 名寄帳を取る:1〜3で物件が見つかった市区町村すべてに請求し、一覧の目次にします。
- 評価証明書を取る:相続税の評価と、相続登記(登録免許税の計算)の両方に使います。
書類ごとの違い
| 書類 | どこで取るか | わかること・限り |
|---|---|---|
| 所有不動産記録証明書 | 全国の法務局。郵送・オンラインでも請求できる | 亡くなった方が所有権の登記名義人になっている全国の不動産の一覧。価格は載らない |
| 名寄帳(なよせちょう) | 不動産がある市区町村。東京23区は、物件がある区の都税事務所 | 固定資産課税台帳を所有者ごとにまとめたもの。その市区町村にある物件と、価格(評価額)・課税標準額などがわかる。ほかの市区町村の物件は載らない |
| 固定資産評価証明書 | 同じ窓口。東京23区は、23区内のどの都税事務所でも申請できる | 物件ごとの価格(評価額)を証明する。登記や相続税の申告の資料に使う |
所有不動産記録証明書の使い方と限り
所有不動産記録証明制度は、登記の記録から、特定の人が所有権の登記名義人になっている不動産を一覧にして証明する制度です。請求できるのは登記名義人本人と、その相続人などです。全国どの法務局でも請求でき、手数料は書面で請求すると1通1,600円です。
検索は請求書に書いた氏名・住所で行うため、登記の住所が引っ越し前のままだと、今の住所だけではその物件が出てこないことがあります。過去の住所や氏名も検索の条件にでき、そのときは、つながりがわかる戸籍の附票や住民票の除票などを添えます。
また、所有権の登記がない不動産(未登記の建物や、表題登記だけの不動産)と、名義が先代のまま相続登記をしていない不動産は、亡くなった方の名前では出てきません。未登記の建物でも、市区町村が把握していれば固定資産税の台帳には載るので、名寄帳と突き合わせて漏れを探します。先代の名義の土地は、亡くなった方あてに届いていた課税明細書が手がかりになります。先代の名前で名寄帳を請求できるかも、市区町村に確かめます。
名寄帳・評価証明書の取り方
請求先は、亡くなった方の最後の住所地ではなく、不動産がある市区町村です。相続人が請求するときは、次をそろえるのが基本です。
- 申請書と、窓口に来た人の本人確認書類
- 亡くなったことがわかる書類(住民票の除票、除籍謄本など)
- 相続人であることがわかる書類(戸籍謄本など。東京23区などでは、法定相続情報一覧図の写しで代えられる)
必要書類や手数料、郵送・電子申請ができるかは、市区町村で違います。東京23区では、名寄帳は物件がある区の都税事務所でだけ扱い、手数料は所有者ごとに300円と案内されています。名寄帳も評価証明書も年度ごとに出るので、どの年度の分かを指定して請求します。
通知書や名寄帳に出てこない不動産
固定資産税の課税明細書は、税金がかかる物件の一覧です。次のような不動産は、手元の通知書に出てこないことがあります。
- 非課税の土地: 誰でも通れる私道で、公共の用に供する道路として非課税になっているものなど。名古屋市のように、名寄帳にも非課税の物件を載せない市区町村もあります。
- 免税点未満の物件: 同じ市区町村にある土地の課税標準額の合計が30万円未満、家屋の合計が20万円未満(令和9年度分からは30万円未満)だと固定資産税がかからず、通知書も届きません。
- 共有の物件: 通知書は共有者の代表者1人に届きます。亡くなった方が代表者でなければ、手元に通知書は残りません。
- ほかの市区町村の物件: 通知書も名寄帳も、市区町村ごとに分かれています。
通帳に残る固定資産税の引落しや、市区町村から届いていた郵便、権利証(登記済証・登記識別情報)も、どこに不動産があるかの手がかりになります。
年度の切り替わりに気をつける
固定資産税の価格は年度(4月1日から翌年3月31日)ごとに決まり、その年の1月1日に持っていた人に課税されます。新しい年度の課税明細書は春ごろに届き、評価証明書も新しい年度の分は4月以降に出ます。手続きが年をまたぐときは、相続税の評価に使う年度と、登記に使う年度の書類がそれぞれ要ることがあり、新しい年度の書類が出るまで待つこともあります。
期限と注意
- 相続税の申告・納付は、通常、亡くなった日の翌日から10か月以内です。評価にかかる時間も見込んで、不動産の洗い出しは早めに始めます(相続税の申告期限から逆算する)。
- 所有不動産記録証明書は、過去の住所や旧姓も検索の条件にしないと、出てこない物件があります。
- 名寄帳は市区町村ごと・年度ごとです。物件がある市区町村をすべて当たり、亡くなった日に合わせた年度の分を請求します。
- 必要書類・手数料・受付方法は窓口で違います。請求の前に、その市区町村の案内で確かめます。
- 通知書・名寄帳・所有不動産記録証明書のどれにも載らない不動産があり得ます。1つの書類だけで「これで全部」と決めず、突き合わせます。
- 名寄帳や評価証明書の「価格」は、家屋や倍率地域の土地を評価するときの出発点です。課税標準額と取り違えないようにします。
根拠
- 国税庁 No.4602 土地家屋の評価
- 国税庁 相続税の申告要否判定コーナー「固定資産税評価額」
- 東京都主税局「【土地・家屋】相続人・受遺者」(固定資産に関する証明等・23区内)
- 東京都主税局「よくあるお問合せ」(固定資産に関する証明等・23区内)
- 東京都主税局「道路非課税の申告をお願いしています」
- 名古屋市「名寄帳(土地・家屋)の閲覧(写しの交付)の申請」
- 名古屋市「固定資産税・都市計画税の課税明細書について知りたい。」
- 鹿児島市「共有名義の土地、家屋の固定資産税を持分ごとに課税できないのでしょうか。」
- 総務省「固定資産税の概要」
- 法務省「所有不動産記録証明制度について」
- 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」(戸籍証明書等の広域交付)