「相続の開始があったことを知った日」とは?
相続税の申告(10か月)と準確定申告(4か月)の期限は、亡くなった日ではなく「相続の開始があったことを知った日」の翌日から数えます。多くの場合は亡くなった日と同じですが、人によってずれることがあります。
結論
「相続の開始があったことを知った日」は、その人が、自分のために相続が始まったことを知った日です。通常は亡くなった日と同じですが、亡くなったことを後から知らされた人や、あとから相続人になった人は、知った日から数えます。期限は1人ずつ決まるので、同じ相続でも、人によって期限の日が違うことがあります。
くわしく
この日から数える期限
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 相続税の申告・納付(相続税法27条1項・33条) | 知った日の翌日から10か月以内 |
| 準確定申告(所得税法124条・125条) | 知った日の翌日から4か月以内 |
| 相続放棄・限定承認(民法915条) | 自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内 |
相続放棄の3か月は、税金ではなく民法の決まりで、家庭裁判所に申し立てる手続きです。言葉は似ていますが、別の期限として管理します。
亡くなった日とずれる例
| 場面 | 数え始める日 |
|---|---|
| 離れて暮らしていて、亡くなったことを後から知らされた | 知らされた日 |
| 先の順位の相続人が全員相続放棄をして、自分が相続人になった | 自分が相続人になったことを知った日 |
| 失踪宣告で、亡くなったものとみなされた | 失踪宣告の審判が確定したことを知った日 |
| 認知や廃除の取消しなどの裁判で、あとから相続人になった | その裁判が確定したことを知った日 |
| 遺言で財産を受け取る(遺贈) | 自分への遺贈があったことを知った日 |
国税庁の通達(相続税法基本通達27-4)は、失踪宣告や、認知・廃除の取消しなどの裁判で相続人になった場合について、事情ごとの扱いを定めています。先の順位の相続人の放棄や遺贈は、通達の原則(自分のために相続が始まったことを知った日)にあてはめて考えます。
日付で見ると
父が2026年6月8日に亡くなり、相続人は同居の長男と、海外に住む長女の2人とします。長男はその日に知り、長女は6月22日に知らせを受けました。
| 長男 | 長女 | |
|---|---|---|
| 知った日 | 2026年6月8日 | 2026年6月22日 |
| 準確定申告の期限(4か月) | 2026年10月8日 | 2026年10月22日 |
| 相続税の申告期限(10か月) | 2027年4月8日 | 2027年4月22日 |
知った日の翌日から数えるので、4か月後・10か月後の、知った日と同じ日付が期限です(期限の日が土日・祝日などに当たるときは、次の平日)。長男と長女で、期限が2週間ずれます。
2人で1通の相続税の申告書を出すなら、早いほうの長男の期限(2027年4月8日)までに出します。長女が別に出すなら、長女は4月22日までに出せます。準確定申告も、2人がそろって1通で出すときは、早いほうの期限までに出します。
知った日がわかるものを残す
亡くなった日と違う日から数えるときは、その日がわかるものを残しておきます。たとえば、亡くなったことを知らせる手紙やメール、先の順位の人の相続放棄を知らせる連絡、家庭裁判所の書類などです。期限の日の考え方を、申告のときに説明できるようにしておきます。
期限と注意
- 期限は1人ずつ決まります。相続人がそろって1通の申告書を出すときは、いちばん早い人の期限に間に合うように進めます。
- 期限の日が土日・祝日・年末年始(12月29日〜1月3日)に当たるときは、次の平日が期限です。
- 「あとから知った」と言える事情がないのに、亡くなった日より後から数えると、期限を過ぎてしまうことがあります。迷うときは、亡くなった日から数えた期限で準備します。
- 死亡届を出した日や葬儀の日から数えるわけではありません。
亡くなった日を入れると期限の日付を出せるページもあります(亡くなったあとの手続きと期限。亡くなった日に知った場合の日付です)。準備の順番は、相続税の申告期限から逆算するにまとめています。
根拠
- 相続税法 第27条(e-Gov 法令検索)
- 相続税法基本通達 27-4「相続の開始があったことを知った日」の意義(国税庁)
- 所得税法 第124条(e-Gov 法令検索)
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
- 裁判所「相続の放棄の申述」
制度・一次資料の確認日:2026年10月24日。期限は、相続人ごとの事情に応じて確かめます。
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